相続税増税時代に向けて知っておきたい資産防衛術

贈与編

2015年から相続税の仕組みが大きく変わることをご存知でしょうか?この制度改正により、相続税の課税対象者が、首都圏では倍増すると予想されます。つまり、これまでは関係ないと思っていた人まで相続税を支払うことになる可能性が出てきているのです。今回は、相続税の税制改正点と相続税増税時代に知っておきたい資産防衛のうち、贈与について考えます。

相続税の改正点とは?

img-95-1 来年から何が変わるのか、相続税の制度の変更点を知っておきましょう。大きく変わる点は、「基礎控除額の引下げ」と「相続税率アップ」になります。

基礎控除額の引下げ

基礎控除額とは、相続税を計算する際に、相続税の対象から除かれる金額になります。つまり、この金額までの受け継ぐ資産であれば、相続税はかからないことになります。
この基礎控除額は2014年までは「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」になります。例えば、遺された家族が妻、子2人であった場合、5,000万円+1,000万円×3=8,000万円が2014年の場合の基礎控除額といえ、この金額までの財産を家族で受け継ぐのであれば、相続税がかからない仕組みとなっています。
しかしながら、2015年以降は基礎控除額が削減されます。どうなるかというと、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に改正されます。遺された家族が妻、子2人の場合、3,000万円+600万円×3=4,800万円となります。差額を見ればお分かりの通り、3,200万円も減少しているのがわかります。この結果、2015年以降は相続資産から差し引ける金額が減り、相続人に相続税がかかる事例が増加すると見込まれるのです。

相続税率アップ

次に相続税率が引き上げられる点も指摘しておきます。富裕層の方にとっては痛手となる内容ですが、相続資産が2億円超3億円以下の場合、改正前は40%ですが2015年以降は45%に、相続資産が6億円超の場合には改正前は50%ですがこれが55%に引き上げられます(それ以外は変更ありません)。
5%の引き上げとはいえ、来年以降は基礎控除額の引下げとセットになりますから、税額が大幅に増加する方もでてくるといえます。
こうした改正点からいえることは、これまで他人ごとと思っていた人にまで課税される可能性が出てくること。特に、大都市部において一戸建てを所有されている方やマンション、アパート経営を行っている方はその対象となりえる可能性が高くなります。
それでは資産防衛という観点から、相続税対策にもつながり、かつ次世代に資産をうまく継承する方法はないのでしょうか?

ポイントは生前贈与をうまく活用して資産継承すること

img-95-2 相続税対策として、また次世代に資産を継承する方法として、是非活用したいのが生前贈与になります。非課税の仕組みをうまく活用して贈与を行えば、次世代への資産をうまく継承でき、相続資産も減少させることにつながるため、相続税対策にもつながるのです。それでは具体的に見ていきましょう。

基礎控除の活用

贈与には基礎控除があり、年間の受け取った贈与金額のうち110万円までは贈与税の対象とならない仕組みがあります。例えば、子供や孫に年間で100万円贈与したとしても課税されないといえ、うまく資産を継承することが可能です。なお、贈与契約書の書き方や贈与税の詳細は専門家に相談された方がよいでしょう。

教育資金の一括贈与

2015年12月までの特例となりますが、教育資金の一括贈与も資産防衛としては是非活用したい制度です。
これは、受贈者(30歳未満の者に限る)の教育資金に充てるためにその直系尊属(祖父母など)が金銭などを拠出し、金融機関に信託などをした場合には、受贈者1人につき1,500万円(学校以外に支払われる金銭は500万円を限度)までの金額に相当する部分の価額については、贈与税を課さないこととする仕組みになります。
孫の教育資金を祖父母が拠出すれば、親の負担も減り、相続対策にもつながります。

住宅取得資金の贈与税の非課税の活用

これは2014年までの措置になります。子供が住宅を購入する際に親が資金援助を行えば、2014年に関しては500万円(省エネルギー性・耐震性を備えた住宅であれば1,000万円)の贈与が非課税となります。

相続税精算課税制度の活用

この仕組みを活用すれば、親から子へ生前贈与を行う場合、2,500万円まで贈与税が非課税で資産継承できます。ただし、相続の際には贈与時の価額で相続税の課税対象となる点には注意が必要です。
例えば、不動産価格が上昇する傾向にある都市部においては、今のうちに相続時精算課税制度を活用し、子に不動産を生前贈与します。その後不動産価格が上昇した場合であっても、相続時には贈与時の価格で換算されるため、値上がり益は非課税で相続できることになります。
その他、住宅取得資金の贈与税の非課税と組み合わせて活用することも可能です。そのため、住宅購入資金の贈与税の非課税枠(平成26年の場合、最高1,000万円)と相続時精算課税制度を利用して住宅資金の贈与を行うと、平成26年の場合、最高で3,500万円まで贈与税がかからずに贈与を行うことができるといえます。
なお、2015年以降は、相続時精算課税制度の適用範囲が広がり、親から子以外にも、祖父母から孫といった資産継承方法も可能となります。したがって、両親と祖父母4人が1人の孫に対して相続時精算課税制度の仕組みを活用すれば、2,500万円×6人=1億5,000万円を贈与税がかからずに資産継承が可能となります。

まとめ:資産防衛を確実に行うために

消費税増税、相続税増税と増税が続くことになる中、消費税は買い物を控えたり、バーゲン時に買い物をするといった対応によりある程度増税回避は可能といえますが、相続税は人の死にかかわる税金のため、いつ発生するかは予測できません。
そのため、前もって相続対策を考え実行していくことが、資産防衛上重要といえます。そうした中で、今からでもすぐ実行できるのが贈与による資産継承です。今しか活用できない制度もうまく利用しながら、相続税増税時代を乗り切りましょう!

ファイナンシャルプランナー伊藤亮太 プロフィール

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