相続税増税時代に向けて知っておきたい資産防衛術

財産相続編

相続税増税時代に向けて知っておきたい資産防衛術第二弾として、今回は財産をどのように相続すべきか、といった観点から相続税を減らすポイント「小規模宅地等の特例」と「高層マンション購入による相続税対策」について解説していきたいと思います。

相続税対策として住宅を購入する

img-96-1 相続税増税に備え、いかに相続税をかからないようにしながら次世代に財産をバトンタッチしていくかは、多くの方にとって考えていかなければならない問題といえます。このとき、現預金で資産を残すことは、自由に利用できるといった面ではメリットが大きいですが、相続税という観点からは現預金そのままの金額が相続税の課税対象となってしまいます。それではどのようにすれば相続税の課税時の評価額を下げることができるのでしょうか?

不動産は相続対策として有利

例えば、居住用不動産以外に、賃貸アパートを建築したとしましょう。仮に、土地評価額6000万円の土地に、建築費4000万円のアパートを建築した場合(借地権割合6割、借家権割合3割、賃貸割合100%とする)、アパートの敷地の評価は、
アパートの敷地の評価
=土地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合)
=6,000万円×(1-60%×30%)
4,920万円
となります。
また、建物の評価額も求めると、
アパートの建物の評価
=固定資産税評価額(建築費の概ね7割程度)×(1-借家権)
=4,000万円×70%×(1-30%×100%)
1,960万円
となります。
上記例でいえば、現金1億円を土地と建物の購入に充てれば、相続税評価額は6,880万円となり、3,120万円分相続税の課税対象額から下げることが可能となりました。
このように、居住用住宅はもちろんのこと、賃貸マンションやアパートでも相続税対策として有効となりえるため、不動産を購入することも一理あるといえます。
しかし、これだけではありません。居住用住宅や賃貸住宅を相続する際には、「小規模宅地等の評価減」の特例が適用できる場合があります。この特例を適用できれば、相続税の心配をする必要がなくなる方もでてくるかもしれないのです。

小規模宅地等の評価減の特例をうまく活用する!

img-96-2 小規模宅地等の評価減の特例とは、被相続人(亡くなった人)が所有していた一定の要件に該当する居住の用に供していた宅地、事業用宅地、貸付用宅地等について、評価額を大きく減らすことができる仕組みです。

減額対象面積と減額割合

宅地区分 減額対象面積 減額割合
居住用 特定居住用宅地等 240m2 80%
事業用 特定事業用宅地等 400m2 80%
貸付用 不動産の貸付用宅地等 200m2 50%

この特例を利用できれば、被相続人が所有していた居住用宅地が240㎡までであれば80%減額することが可能となります。つまり、20%分しか相続税の課税対象に組み込まれないのです。例えば240m2で1億円する土地であれば、実際に相続税の計算の際には2,000万円で評価されることになります。
しかも、平成27年以降は居住用宅地については330m2までの部分につき80%減額される仕組みに拡張されるため、ある程度広い敷地をお持ちの方にとってはメリットが増すとも捉えることができます。
この特例は事業用宅地や賃貸用宅地にも適用されます(ただし併用に制限あり)ので、不動産をうまく活用することで相続対策として大いに力を発揮できるといえます。
なお、居住用宅地等の評価減の特例の適用を受けることができる相続人は、配偶者の他、(1)相続人と同居している親族で、相続開始時から申告期限までその家屋を居住の用に供していること、(2)相続人と同居していない場合には、相続の開始前3年間借家住まいの存続であることといった要件を満たす必要があります。

高層マンション高層階購入による相続税対策も!

img-96-3 その他、不動産を活用した相続税対策として、「高層マンションの高層階を購入する」方法も知っておきましょう。

戸建よりもマンションの方が相続税対策としては有効か?

実は戸建よりもマンションの高層階を購入する方が、相続税対策としては有効となるケースがあります。
これは、高層マンションの高層階の市場価格(売買価格)と相続税評価額が乖離しやすいためです。このカラクリは、高層マンションにおいて、2階の部屋を購入しようが最上階の部屋を購入しようが、面積・間取りが同じであれば相続税評価額は同じ金額で評価されるからです。
例えば、2階の部屋が4,000万円で販売されており、相続税評価額が2,800万円だったとしましょう(一般的に、固定資産税評価額は、建築費の概ね50~70%位になります)。これが30階であれば間取りが全く同じであっても1億円など売買金額は大幅に上がります。しかしながら、30階であっても相続税評価額は2階と同じ2,800万円となります。
30階のマンションを購入された方は、売買価格と相続税評価額との間に7,200万円もの差が生じることになり、相続税の税率が仮に40%の人であれば、2,880万円もの節税が可能となる計算になります。
戸建ではこうした差は大きくは望めないものの、高層マンションであれば対策可能ですので、子供に相続させるためのマンションとして親が購入しておくといった方法は相続税対策として有効といえるでしょう。

まとめ:不動産をうまく活用

現金で保有するよりは不動産を購入し活用する方が相続税対策としては有効になります。これは評価額を下げるほか、小規模宅地等の評価減の特例が適用できるためです。もちろん、相続税が支払えないといった問題が起きては困りますので、相続税がかかりそうな方はある程度の現預金も必要となります。 この他、高層マンションの高層階を購入する方法により、親から子へ賢く資産を継承する手段も不動産活用という手段からは考えられます。親子で相談しながら、相続対策を行う機会を持てる、そんな時間を早めに作っておくことが財産継承という観点からは最も重要なことかもしれませんね。

ファイナンシャルプランナー伊藤亮太 プロフィール

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