賃貸併用住宅の基礎知識

賃貸併用住宅と賃貸住宅の違いとは

賃貸併用住宅と賃貸住宅は建物の構造だけでなく、ローンや管理などさまざまな点が異なります。
ここではその違いについて見ていきます。

賃貸併用住宅と賃貸住宅ってなに?

img-98-1 夢のマイホームを建てて悠々自適に暮らす生活は、誰でも憧れるものですね。
しかし実際は35年の住宅ローンを組んで、毎月家計をやりくりしてローンを返しつつ「本当に35年で返せるだろうか」という不安を抱えながら、毎日通勤電車に揺られる……。そんな方々が多いのではないでしょうか。
しかも、都内の一等地にマイホームを持つなんていうことは、だいぶ限られた人達のみとなってしまいます。大体は都心から離れた土地の安い場所にマイホームを持ち、通勤に長時間とられ、毎日疲弊しながら通っている方がほとんどです。

もしこれが都内の一等地でマイホームを持ちながらラクラク通勤で、ローン返済も普通の住宅ローンよりだいぶ軽くなる方法があるとしたら、どうでしょうか。
「そんな夢のようなうまい話があるわけない」とお思いになりますか。
しかし、実はそんな夢のような話(もちろんリスクはつきものですが)があるのです。
それが「賃貸併用住宅」です。

賃貸併用住宅とは、建物の中に自分の住まいと賃貸用の部屋を共存した建物のことをいいます。賃貸併用住宅を建築したオーナーは、賃貸用の部屋に入居した方から家賃収入を得、そこからローンを返済していきます。ローンは建物の半分以上が自分の住まいとするなら、住宅ローンとなります。
そして、賃貸住宅は全部屋を賃貸する目的のために造られた建物のことをいいます。賃貸住宅を建築したオーナーは、賃貸住宅とは別に住まいを構え家賃収入を得ます。ローンは通常のアパートローンになります。

賃貸併用住宅と賃貸住宅の大きな違い

賃貸併用住宅と賃貸住宅の違いはなんといってもローンではないでしょうか。
上記で簡単にそれぞれのローンについて触れましたが、どのように違うのか、またその他についてもそれぞれ具体的に見てみましょう。

ローンについて

[賃貸併用住宅]住宅ローン
・対象は、新築もしくは中古のマンション、建売住宅を購入した際など
・低金利で借りることができる
・アパートローンに比べ審査は緩やか

[賃貸住宅]アパートローン(不動産融資ともいう)
・対象は、アパートやマンションなどの賃貸住宅の建築や購入、リフォーム資金、また借り換え資金など
・一般的に住宅ローンより金利は高い
・事業のため審査は厳しい
・通常のローンより大きな金額を借りることができる

間取りについて

[賃貸併用住宅]
・1階部分におよそ貸室2~4部屋を作り、2階部分は自分の住まいに
*このパターンが一番多い
・1階部分を自分の住まいに、2階部分を貸室に
・他にも2階部分全体と1階の1室を自宅にするなどし、住宅ローンの適用が受けられるよう工夫された間取りとなっている
・マンションの場合だと、上階を自分の住まいにするパターンもある

[賃貸住宅]
・全部屋ワンルームや1LDKなど、間取りを統一するパターンが多い
*様々な間取りを組み込むと、それだけ建築費が高くなるため

管理について

[賃貸併用住宅]
・家賃授受など全般的な管理については管理会社を仲介させるが、自宅兼賃貸のためオーナーの意識も高く、率先して草むしりをしたり居住者に挨拶したりするなど、居住者になるべく安心して長く住んで頂けるよう努力しているオーナーもいる

[賃貸住宅]
これも人によるが、管理会社にすべてお任せしている場合が多い

賃貸併用住宅は収益住宅!

ここまで読むと、「賃貸併用住宅って他人と同じ建物で暮らさなきゃいけないし、なにかと面倒臭そう」とお思いになるかもしれませんが、賃貸併用住宅のメリットを知ればまた見方が変わってくるかもしれません。
そこで、ここでは賃貸併用住宅のメリットと気を付けるべき点について述べたいと思います。

賃貸併用住宅は「収益住宅」「収益物件」ともいわれています。
収益というなら賃貸住宅もそうじゃないかと思いますが、なぜ賃貸併用住宅に「収益」がつくのでしょうか。
冒頭で「賃貸用の部屋に入居した方から家賃収入を得、そこからローンを返済していく」と述べましたが、実はそれだけではなく個人年金や保険代わりにもなるのです。それを説明するにはまず、現在の日本の平均寿命がどれぐらいなのかを知る必要があります。

男女の平均寿命 84歳
男性 80歳 世界8位
女性 87歳 世界首位
   (2014年度 WHO「世界保健統計」より)

男女の平均寿命を見ると、前年に続き世界最長となっています。

次に例として、30歳男性が個人年金と終身保険に入った場合の、払う保険料と貰える年金、保険金について示します。

*個人年金に入った場合
  保険料 1万円/月額
  支払終了 65歳まで
  貰える年金額 約52万円/支払期間 10年

*終身保険に入った場合
  保険料 1万7千円/月額
  支払終了 65歳まで
  貰える保険金 約1000万円(死亡時、もしくは解約返戻金)

60歳で定年退職して年金生活に入ったとして、個人年金をもらえるのが52万円。月々に換算すると個人年金が4万3千円(それも貰える期間は10年間)です。終身保険を解約して生活するといっても、一体自分が何歳まで生きられるのかもわかりませんから、そんなにむやみに使うことはできません。これでは、いくら健康に気を遣って長生きしようと思ってもわびしい老後生活となってしまいます。

そこで登場するのが「住宅ローン」です。
先程賃貸併用住宅で、自宅を建物の半分以上とするなら住宅ローンが使えると述べました。住宅ローンにするとなにが良いのかというと「団体信用生命保険」がついてくることです。

団体信用生命保険とは

債務者が死亡、または高度障害を負った場合、「その後の住宅ローンの支払いはしなくていいですよ」という保険です。じゃあ、その後の住宅ローンはどこへいってしまい、誰が代わりに銀行に払ってくれるのでしょう。

答えは保険会社です。
賃貸併用住宅を建築する時に、銀行からお金を借ります。
銀行は「この人ならお金をきちんと返してくれる能力があるだろう」と審査を出し、住宅ローンを組みます。しかし万が一なにか事故や問題が起きて、債務者がお金を返せなくなった場合、銀行は困ってしまいます。その際に、そこの銀行と提携している保険会社が「代わりにうちが残りのローンを払いましょう」となるわけです。債務者は「なんで保険会社が代わりに払ってくれるの?」と疑問をお持ちになるでしょうが、保険料は住宅ローンの金利に入っていると思って頂ければ良いでしょう。

住宅ローンがゼロになった物件は、そのまま貸し出して家賃収入を得ることで私設年金となります。自分の住まいを持ちつつ、定期的に家賃収入が得られるのです。賃貸住宅はアパートローンとなりますから、団体信用生命保険はつかず家賃収入でやりくりする必要があります。

これが、賃貸併用住宅と賃貸住宅の違いです。

まとめ

どちらが良い経営方法なのかとは一概には言えませんが、それぞれのメリット・デメリットはあります。それらをよく知り、自分に合う経営方法はどちらなのか吟味しましょう。不動産業界は情報産業ともいわれており、いち早く最新の情報や市場動向を集めることが成功の鍵となります。まずは手軽に情報収集できるインターネットを、うまく活用しましょう。

参考文献
『住宅ローンを軽減し、月15万円の永久年金を確保する収益住宅のすすめ』Mac安田著 株式会社筑摩書房 2009年6月25日第一刷発行
『よくわかる不動産業界』山下和之著 日本実業出版社 2013年2月1日最新5版発行
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