賃貸経営の基礎知識

不動産投資と賃貸経営の違い

ここでは不動産投資と賃貸経営と違いと特徴について解説します。
これから始める方は違いをよく理解し、計画を立てます。

不動産投資って?

img-99-1 不動産投資を説明する前に、まず投資の意味を知っておかなければなりませんね。投資とは、利益を得る目的で資金を投入し、資産を増やすことです。投資には株や債券などがありますが、不動産も投資の一つに挙げられ、ミドルリスクミドルリターンの投資といわれています。
ミドルリスクミドルリターンとは、銀行預金に比べるとリスクとリターンは高いですが、株式投資と比べるとリスクとリターンは低いといわれているところからきており、不動産投資はその中間として、手につけやすい投資となっています。

銀行預金 < 不動産投資 < 株式投資

不動産投資の目的は、キャッシュフロー(資金収支)を最大限大きくすることを目指すビジネスです。また、不動産投資には居住用物件と事業用物件にわけることができます。居住用物件とは住むための物件であり、事業用物件とはオフィスや事務所など事業を行う為の物件です。

賃貸経営って?

賃貸経営とは、不動産投資のように利益に追及するのではなくあくまで節税対策や土地活用のためにアパートやマンションなどを作り、部屋を貸し出す経営のことを指しているようですね。相続税対策などはまさに節税対策です。
賃貸経営市場にはアパート経営が多くあげられますが、もともと土地を持っている人がアパート経営に乗り出しており、それは個人でやっていたことだったので経営状況についてはあまり多く知られていませんでした。しかし、不動産市場が徐々に活発化していくにつれデータの整備もされ始めました。自分で調べるにもなかなか難しかった賃貸経営状況ですが、家賃の動きを調べるには総務省の「消費者物価指数」、新設賃貸物件の着工数を知りたい場合は国土交通省の「住宅着工統計」で調べることができるようになりました。
また、空き室の把握や今後どういった賃貸経営をしていくかについて予測したい場合は、住宅金融公庫が発表している「全国住宅市場調査」(住宅関連事業者にアンケート調査したもの)が役にたちます。

不動産投資と賃貸経営の違い

不動産投資 賃貸経営
・キャッシュフローを最大限大きくするために追求する投資のこと
・ミドルリスクミドルリターンの投資
・節税対策、土地活用を目的とした経営のこと

img-99-2 *賃貸経営市場の動向を調べるために

  • 家賃の動きを調べたい→総務省「消費者物価指数」
  • 新設賃貸物件の着工数を知りたい→国土交通省「住宅着工統計」
  • 空き室の把握・今後どういった賃貸経営をしていくかについて予測したい→住宅金融公庫「全国住宅市場調査」

不動産投資と賃貸経営の特徴

ざっくりとですが、不動産投資と賃貸経営の違いについて見てきました。ここではもう少し踏み込んで、それぞれの特徴を見ていきたいと思います。

不動産投資の特徴

さきほど不動産投資とは、キャッシュフロー、いわゆる得られる利益を最大限にするビジネスだと述べましたが、そのようにするにはそれぞれの各プレイヤーが「投資」ということを常に念頭に置いて効率よく行動しなければなりません。以下はそれぞれの役割です。

  • 不動産投資主体の機能分化(アンバンドリング[Unbundling])・アセットマネジメント(Asset Management。略してAM)‐預かった資金を不動産で運用。最大限の利益を上げる
  • ・リーシング‐テナント付する
  • ・プロパティマネジメント(Property Management。略してPM)‐モノとしての不動産の管理
  • ・デベロップメント(Development)‐開発業務を請け負う
  • ・デューデリジェンス(Due Diligence)‐投資対象の不動産を調査する

不動産投資では、役割の分担と責任の明確化が重要であり、それぞれが専門性を最大限発揮することで投資に対する利益をあげていきます。不動産投資におけるプレイヤーは多種多様で、これらをすべて一人で担うことは大変困難です。それぞれが成果を発揮するためには責任の明確化が必要となってきます。各プレイヤーの業務について説明しましたが、特定の一社が複数の機能を担うこともあります。

賃貸経営の特徴

賃貸経営を行うにあたっての2大指標は、なんといっても「空き室率」と「賃料」です。しかし空き室率と賃料といっても、ファミリータイプやワンルームタイプ、都市型物件、高額所得者や外国人向けの超高級物件など様々であり、それらの特性に応じて市場動向も変わってきます。よって、まずは自分がどういった目標の賃貸経営をするかで、その商品市場に見合ったデータを利用するかが変わってきます。
データを調べるには、上記であげた資料を参考にしてみてくださいね。
ちなみに、今後の賃貸住宅市場を予想するためのポイントをあげておきます。
それは「持家から賃貸住宅への転換は、大幅には進まない」です。
下記のデータは、総務省HPより抜粋したものです。

fig-99-1

これによると、昭和38年~48年にかけては総住宅数が空家数、空家率より上回っていたのに対し、昭和53年以降は総住宅数より空家率のほうが上回りその幅は少しずつ広がっていることがわかります。総務省によると「総住宅数は6063万戸と,5年前に比べ,305万戸(5.3%)増加」し、「空き家数は820万戸と,5年前に比べ,63万戸(8.3%)増加」、更に「空き家率(総住宅数に占める割合)は,13.5%と0.4ポイント上昇し,過去最高」とあります。

つまり、空家が飽和状態となっていることに加え、家を持ち、長く住んでいることがわかります。

また、共同住宅数で見てみると「2209万戸、住宅全体に占める割合として42.4%と上昇している」と総務省で発表されています(平成25年統計による)。このデータは、5年前と比べるといずれも増加、上昇しており市場における供給と需要のバランスがアンバランスとなっていることがわかります。

fig-99-2

また「持家住宅率は61.9%と上昇」し、賃貸より将来への自己資産として考える人達が増えていることが伺えます。
このことからわかるように、賃貸経営をこれから始めるにあたって重要となってくるのが、守りの賃貸経営だけではなく収益をきちんと見込んだ経営をするということです。それには、不動産投資でもあげた「デューデリジェンス」の必要性を高めることにあります。物的調査、法的調査、経済的調査の三つの分野について的確な情報を集め、収益につながる経営を行うことが大切になってきます。

まとめ

このように不動産投資と賃貸経営では、その目的が変わってくることが分かりますが、賃貸経営においても満室にするための経営努力は必要であり、市場のバランスを見て計画を立てることが重要となってきます。

参考文献
『基礎から学ぶ不動産投資ビジネス改訂版』田辺信之著 日経BP社 2007年1月29日改訂版1刷発行
『家主さん、、地主さん、もっと勉強して下さい!』鹿谷哲也著 株式会社新評論 2004年12月20日初版第7刷発行
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