相続税改定特集

そもそも相続税の何が変わるのか?

平成27年から相続税が増税されました。
ここでは相続税の仕組みや基礎控除など変更点のポイントを解説します。

平成27年から相続税が増税される!

img-117-1 賃貸経営を始めようと思っている方は既に知っているかもしれませんが、平成27年から相続税が大幅に増税されるようです。土地を持っている方には、特に頭の痛い問題ですね。
ここでは、相続税が増税することにより、不動産投資にどんな影響が関わってくるかを見ていきたいと思います。

相続税のしくみ

相続税の総額のしくみを知っておきましょう。
相続税の総額は、課税遺産額から基礎控除を引き、各法定相続人が法定相続分にしたがって取得します。その後、各法定相続人の計算した取得金額に、相続税の税率を掛けたものの合計額が、相続税の総額となります。

基礎控除後の課税遺産総額
法定相続人Aの取得金額×相続税の税率=税額1
法定相続人Bの取得金額×相続税の税率=税額2
法定相続人Cの取得金額×相続税の税率=税額3

税額1+税額2+税額3=相続税の総額

遺産にかかる基礎控除額が引き下げられる

「相続税の基礎控除が引き下げられる」といわれても、「基礎控除」について知らなければよくわかりませんね。基礎控除とは、納税者すべてにたいして、無条件にさし引ける所得控除のことです。
では、実際に遺産に掛かる基礎控除額がどのように引き下げられるのか見てみましょう。

基礎控除額

改定前
5000万円+(1000万円×法定相続人の数)

改定後
3000万円+(600万円×法定相続人の数)

このように式をぽんと出されても分かりにくいので、例を出してみます。

例)夫・妻・子供一人の3人家族
夫 収益用の土地と建物、1億6000万円の財産あり。1億5000万円の借り入れをして、収益不動産を購入

固定資産税評価額
建物 7000万円 土地 3000万円とします。

建物の評価方法は固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)で割り出します。借家家割合を30%、賃貸割合を100%とします。そうすると、

収益マンションの建物
7000万円×(1-30%×100%)=4900万円
となります。
次に、土地の評価ですが土地の評価方法は、

路線価×地積×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

で割り出します。路線価とは、相続の計算の時に使うもので道路の値段のことです。この道路の値段に土地の面積をかけたものが土地の相続評価となります。よって地積とは、土地の面積のことです。上記の収益不動産の路線価、地積、借地権割合を、路線価8万円、地積300㎡、 借地権割合 70%とすると、

収益マンションの土地
8万円×300㎡×(1-70%×30%×100%)=1896万円

となります。借地権割合は、自分の土地を自由に使えない割合です。建物と土地と両方を合わせると、計6796万円です。この6796万円が相続税評価額となります。相続税評価額とは、相続税や贈与税の計算を行うために定められた決まりに従って計算された評価額のことです。

建物+土地=相続税評価額
4900万円+1896万円=6796万円

そして、持ち主が亡くなった時の残債が1億円だったとします。不動産以外の財産が2億5000万円だったとした場合、この方の全相続財産額を計算すると、

不動産以外の財産+収益マンション-借入金
2億5000万円+6796万円-1億5000万円=1億6796万円

6796万円から相続税を計算すると、上記の基礎控除の計算式をあてはめていきます。
相続税の基礎控除
5000万円+1000万円×法定相続人
5000万円+1000万円×2人=7000万円

7000万円が基礎控除額となります。この場合、全相続財産額1億6796万円から基礎控除額7000万円を引いたものから相続税を計算していきます。

全相続財産額-基礎控除額
1億6796万円-7000万円=9796万円
この9796万円が課税対象額となります。

今まではこの9796万円でしたが、平成27年1月1日より法改正がされますので、下記のように変わります。
基礎控除額 3000万円+600万円×法定相続人の数
3000万円+600万円×2人=4200万円

1億6796万円-4200万円=1億2596万円

1億2596万円が課税対象と変更になります。

次に奥さんと子供とで、別々に相続した場合について考えてみましょう。
奥さんがすべて財産を相続した場合ですが、配偶者には「1億6000万円、または課税遺産総額の半分以下」といった税額控除が認められているので、今回の例でいうと相続税は発生しませんね。
しかし、子供が一人で相続した場合が変わってきます。

法定相続分で分けた金額
6000万円×法定相続人二分の一=3000万円
1人分の相続税の場合→3000万円×相続税率15%-50万円=400万円
2人分の相続税の場合→400万円×2人=800万円

これが、平成27年1月1日からの法改正により、次のように変わってきます。
全相続財産額1億6796万円-基礎控除額4200万円=1億2596万円
1億2596万円×法定相続分二分の一=6298万円
6298万円×法定相続分二分の一=3149万円
3149万円×相続税率20%-200万円=429万8000円
429万8000円×2人=859万6000円

このように計算して見てみると、2人分の相続税800万円から、法改正により859万6000円とアップします。また、相続税率も変わります。下記は国税庁HPより抜粋したものです。

No.4155 相続税の税率
[平成25年4月1日現在法令等]

課税標準 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1,700万円
3億円超 50% 4,700万円

改正後 *1億以下は同じなので省く

課税標準 税率 控除額
1~2億 40% 1700万円
2~3億 45% 2,700万円
3~6億 50% 4200万円
6億~ 55% 7200万円

この改正により、財産を多く持っている方もその対象となり、相続税がかからなかったものがかかるようになり増税となります。

まとめ

現行法では、100人中4~5人にしかかからない税金といわれている相続税。しかし、平成27年の相続税改正により、その対象者が増えてしまうことが懸念されます。その時になって大慌てするよりもまずは、自分の持っている不動産や財産がどれぐらいあるのかを把握しておきましょう。とはいっても、なかなか財産の洗い出しというのは大変な作業です。特に土地についてはある程度の専門知識が必要ですし、税理士であっても経験がないと難しいです。経験の豊富な専門家を探し依頼してみてはいかがでしょうか。
最後にまとめますと相続税増税に向けて、何をするのかですが、
① 財産すべての把握
② 控除や特例を適用
③ 基礎控除を差し引く
④ 法定相続割合でいったん分ける
⑤ 分けた金額にそれぞれの税金を計算して合計する
⑥ 税額の合計をわける
⑦ その他の控除や加算を行う
といった流れになります。

ちなみにですが、相続税がたくさんかかるのであれば生前贈与で相続税を回避しよう!と思われるかもしれません。しかし、その場合は贈与税というものが今度はかかってきます。贈与税は相続税に比べて、小さい金額でも高い税率が課せられてしまう構造になっているため、安易な生前贈与は、逆に大きな負担となってしまいます。
贈与税には、基礎控除が110万円ありますが、この贈与を受けた額から110万円を差し引いた金額に対して贈与税が計算されるため、毎年110万円以内だったら贈与税はかからないことになりますが、これを繰り返すとまとまった金額の贈与と同じとみなされる可能性もあります。
奥が深い相続税と贈与税。概要を理解し、専門の方に相談してきたる増税にむけて準備しましょう。

参考文献
『すぐに役立つアパート・マンション経営の法律と税金実務マニュアル』 石丸喜博編著 三修社 2009年3月10日第1刷発行
『納税対策Q&A 不動産相続編』鈴木高広著 株式会社ビジネス教育出版社 2014年初版第1刷発行
  • 次へ
  • 次へ
  • もどる
  • 結果を見る
  • もどる