土地活用・アパート経営の税金・節税対策の知識とポイント

不動産管理会社を設立

アパートやマンション経営を個人事業として行っている場合、収入が増えれば所得税も増えることになります。また、収入が同じであっても必要経費が減ることで不動産所得が増加し、所得税が増えることもあります。
アパートやマンション経営を拡大したい、家族経営でやっていきたいと思った時に、節税しながら経営する方法はないのでしょうか?

アパートやマンション経営を法人化する

img-94-1 アパート経営を拡大して家賃収入が増えた場合や、家賃収入は変わらないものの減価償却費や支払金利が減り不動産所得が増えると、個人事業の場合所得税が増えます。そのため、不動産管理会社を設立して節税するといった方法をとることを検討してみましょう。

不動産の収入を分散することができる

不動産を個人で所有している場合、家賃収入はすべて個人の収入となります。しかしながら、不動産管理会社を設立し、収入の一部を不動産管理会社にすることで個人の所得税を減らすことができます。これは、企業の法人税が25.5%(平成26年度)と一定なのに対し、所得税は課税所得に応じて5~40%と段階的に上昇するため、所得が多い人ほど不動産管理会社を設立した方が節税につながるといえるためです。なお、実際には住民税なども考慮する必要があります。
一般的に、個人において、年間の所得が1,800万円を超える場合には、法人化により収入を分けることで節税対策となるといえます。

収入分散による節税対策

img-94-2 それでは不動産管理会社をつくることで、一体どれぐらいの節税につながるのでしょうか?一つの事例をもとに、収入を分散したことによる節税結果を示してみましょう。
ここでは、不動産管理会社が、オーナーから管理を委託され、管理料を徴収したとして考えます。

<事例>

家族構成:夫と妻
不動産収入が3,240万円、不動産に関連する経費が1,200万円あったとしましょう。また、不動産管理料は収入の10%と仮定します。また、管理会社の収入はすべて妻に給料として支給したとします。上記以外の収入等はなかったものとします。

この事例の場合には、
<夫の所得税>
不動産所得=不動産収入-管理収入-不動産経費
=3,240万円-3,240万円×10%-1,200万円
=1,716万円
所得税=不動産所得×税率-所得控除
=1,716万円×33%-153.6万円
=4,126,800円
<妻の所得税>
給与所得=給与収入-給与所得控除額
=324万円-(324万円×30%+18万円)
=208.8万円
所得税=給与所得×税率-所得控除
=208.8万円×10%-9.75万円
=111,300円
<夫と妻の所得税の合計>
4,126,800円+111,300円=4,238,100円となります。
なお、ここでは簡単化のために復興特別所得税は考慮しておりません。

それでは、不動産収入をすべて夫が得ている場合には所得税はどうなるでしょうか?
<夫の所得税>
不動産所得=不動産収入-不動産経費
=3,240万円-1,200万円
=2,040万円
所得税=不動産所得×税率-所得控除
=2,040万円×40%-279.6万円
=5,364,000円
この結果、5,364,000円-4,238,100円=1,125,900円、つまり112万5,900円分所得税が節税できたことがわかります。これはあくまで所得税だけの話であり、実際には住民税や個人事業税についても節税効果を発揮するため、不動産管理会社の設立のメリットがいかに大きいかが分かります。

給与を支払うことで生前贈与と同じ効果をもたらす!

もう一つ、個人でアパートやマンションを所有した場合、収入は個人のものでしたが、不動産管理会社を通じて親族に給与を支払えば生前贈与と同じ効果をもたらす点がメリットとして挙げられます。しかも生前贈与よりも節税という観点からメリットが大きいのです。

生前贈与をする場合には贈与税がかかる

生前贈与を行う場合、贈与金額に応じて贈与税を支払う必要が出てきます。そのため、多額の贈与を行う場合には、税率が50%となる場合があり、贈与をする意義が薄れることになります。
しかしながら、不動産管理会社から給与という形で支払えば、贈与税ではなく所得税・住民税の対象となるため、ケースにもよりますが、生前贈与よりも節税しながら贈与ができるといったメリットがあります。

給与支払いによる節税対策

それでは不動産管理会社をつくることで、贈与という側面からどれぐらいの節税につながるのでしょうか?一つの事例をもとに、節税結果を示してみましょう。

<事例>

不動産管理会社を設立し、配偶者(例:妻)に給与として600万円を支給したとします。その他の条件はここでは簡単化のために考慮しないこととします。

この事例の場合には、
<妻の所得税>
給与所得=給与収入-給与所得控除額
=600万円-(600万円×20%+54万円)
=426万円
所得税=給与所得×税率-所得控除
=426万円×20%-42.75万円
=424,500円
なお、ここでは簡単化のために復興特別所得税は考慮しておりません。

それでは、夫から妻に600万円生前贈与を行った場合、贈与税はいくらになるでしょうか。
<贈与税>
贈与税=(贈与金額-基礎控除110万円)×税率-控除額
=(600万円-110万円)×20%-25万円
=73万円

この結果、730,000円-424,500円=305,500円、つまり30万5,500円分の節税ができたことがわかります。実際には夫の不動産収入は減っているため、夫の所得税も減らすことができます。妻に贈与と同じ効果をもたせながら大きく節税できる点も後々のことを考えると、不動産管理会社設立の意味はあるといえます。

まとめ:不動産管理会社を設立するかどうか検討を!

以上から、不動産管理会社を設立することで節税効果が大きく得られる場合があることが分かりました。なお、実際には所得税の他住民税や個人事業税なども考慮しつつ、どの位効果を得ることができるのかは税理士に相談するのがよいでしょう。
そして、会社設立費用や手間を考えても、節税にメリットがあると想定される場合には、不動産管理会社を設立することを検討していきましょう。

ファイナンシャルプランナー伊藤亮太 プロフィール

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